植物由来のワックス

 代表的な植物由来のワックスは@カルナバワックス、Aキャンデリラワックス、B木蝋、Cライスワックス(米ぬか蝋)です。
これらワックスは動物由来のワックス同様に19世紀後半に台頭してきた石油ワックスにより利用分野が狭まってきましたが、それでも尚その特徴から現代でも使用され続けています。
 以下に詳細を列記します。

@カルナバワックス
 植物ワックス中最も多く使用されているワックスです。椰子科の植物の葉の分泌物から得られますが主な産地はブラジルです。一本の木より約300g程度採取され、全体ではおおよそ年間2万トン程生産されいるようですので、その流通量は石油ワックスの1%以下となります。

 若葉からは淡黄色、古葉からは農緑色のワックスが採取され、前者を1号、後者を2号又は3号と呼んでいます。
 1号の成分・性状例を以下に示します。
    エステル  80〜85% 
    遊離脂肪酸 3〜4%
    遊離アルコール 10〜12%
    炭化水素 1〜3%  

    融点   80〜86℃
    酸価 2〜10
    鹸化価 78〜88
 このワックスの特徴は極めて硬いこと及び成分的にはヒドロキシ酸エステルが多く(30〜35%)安定したエマルジョンが作り易い等です。
  主な用途は各種艶出し剤、化粧品、熱転写インキ等でかなりの量がエマルジョンタイプに加工されて使用されます。

Aキャンデリラワックス
 メキシコ等北アメリカ南部の乾燥地帯に生えている植物から採取されます。
色は黄褐色または褐色でその成分・性状は以下の通りです。流通量はカルナバワックスよりかなり少ないと思われます。

    エステル 24〜30%
    遊離脂肪酸 10〜20%
    遊離アルコール 10〜15%
    炭化水素 40〜50%

    融点 66〜71℃
    酸価 12〜21
    鹸化価 47〜64
 このワックスの特徴は炭化水素の比率が高い(40〜50%)ことです。
 主な用途は化粧品、各種艶出し剤等です。

B木蝋
 ハゼの実から採取される蝋です。主成分はグリセライドですから化学的にはハゼ油脂と呼ぶべきかもしれません。しかし常温で固体のため蝋と呼ばれています。
 この蝋は今でこそ年間の生産量が100〜200トンに過ぎませんが、最盛期の明治時代には年間1万トン以上も作られていました。
 主な用途は蝋燭で、いわゆる和蝋燭はこの蝋で作られていました(今では石油ワックスで作られているものもありますが)。その他の用途はびんつけ、膏薬等です。
 成分・性状は次の通りです。
    グリセリド 93〜97.5%
    遊離脂肪酸 3.7〜5.6%
    遊離アルコール 1.2〜1.6%
    
    融点 50〜56
    酸価 6〜30
    鹸化価 205〜238
 主な用途は和蝋燭、化粧品(ポマードに多くが使用されていたのですが、液体整髪料が出現してから極端に減少しました。その他口紅等)です。

C米ぬか蝋(ライスワックス)
 米ぬか油から採取される蝋です。米ぬかは約20%程の油脂を含んでおり、これは米ぬか油として食用に広く利用されています。この油には1.5%程度の蝋分が含まれていますが、油の精製過程で完全に除去されす。この除去された物は粗蝋と呼ばれ、これを脱ガム質や水素添加精製をしたものが精製ライスワックスとなります。
 この成分と性状は次の通りです。
   エステル 93〜97%
   遊離脂肪酸 4〜7%
   
   融点 70〜83%
   酸価 13以下
   鹸化価 80〜160

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